Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ぎゅうじん
山月記・李陵 他九篇
Lisez 山月記・李陵 他九篇 (ぎゅうじん) de Nakajima Atsushi (中島 敦) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 41 608 caractères · 84 écrans
M氏より十歩ばかり先へ歩いていた私は、或る家の縁の下に一人の痩せた女が帯を編んでいる所を見付けた。帯はなかなか出来上りそうもないが、傍には既に出来上ったバスケットが一つ置いてある。私は、案内役の島民少年にバスケットの値段を聞かせる。三円だという。もう少し安くならないかと言わせたが、なかなか承知しそうもない。そこへM氏が現れた。M氏も少年に値段を聞かせる。女はチラと私と見比べるようにして、M技師を――いや、M技師の帽子を、そのヘルメットを見上げる。「二円」と即座に女は答える。オヤッと私は思った。女はまだ自信の無いような態度で何かモゴモゴと口の中で言っている。少年に通訳させると、「二円だけれど、何なら一円五十銭でもいい」と言っているのだそうだ。私が呆気に取られている中に、M氏はさっさと一円五十銭でそのバスケットを買上げてしまう。
宿へ帰ってから、私はM氏の帽子を手に取って、しげしげと眺めた。相当に古い・既に形の崩れた・所々に汚点の付いた・おまけに厭な匂のする・何の変哲も無いヘルメット帽である。しかし、私にはそれがアラディンのランプの如くに霊妙不可思議なものと思われた。