Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
あらしのよる
嵐の夜
小川 未明
Lisez 嵐の夜 (あらしのよる) de 小川 未明 (おがわみめい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 2 980 caractères · 6 écrans
」といって、しっかと抱き締めて、さっさと広々とした沙原の方へ切れた草履をひきずって、歩んで行きかけますと、遠くの沖の方を往来します白帆の影が見えます。
足許まで、打ち寄せる雄波、雌波は、「かねちゃん、かねちゃん、やー。」といって転がるように笑いさざめく。真青な空! 真青な海! 白い鴎がふわふわと飛んでいる。ああ、はればれとしたお天気で気持のいいこと。かねちゃんは、涼しい眸を見張って、父さんの、今朝出て行きました、沖の方を眺めていました。
「ああ、父さんが恋しいことよ。」と、ほろりとして涙が頬を伝ったのであります。ひたひたと破れた衣の裾を吹く、沖の風は身に浸みて寒い。小猫は懐裡に抱かれたままで、ごろごろうなっています。
かねちゃんが、家へ帰っても、まだ母さんは帰って来ませんでした。柿の木の下に、敷いた筵の上は、栗の林に遮られて、今は日の光りも蔭って、木の葉や、草の葉の上に風がさわさわと鳴り、にわかに、いつの間にやら大空に白雲がちらばったのであります。その内に天地は暗くなって、風が烈しくなって、栗の樹や、柿の木や、松林に鳴る音高く、萩の枝などは、もまれにもまれて、見渡すかぎり田畑は一面に白っぽく、稲や、芋の葉のひらひらとなびくのであります。