Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あらし

嵐

島崎 藤村

Lisez 嵐 (あらし) de 島崎 藤村 (しまざきとうそん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 54 007 caractères · 108 écrans

Aozora Bunko

毎日のような三郎の「早川賢、早川賢」は家のものを悩ました。きのうは何十人の負傷者がこの坂の上をかつがれて通ったとか、きょうは焼け跡へ焼け跡へと歩いて行く人たちが舞い上がる土ぼこりの中に続いたとか、そういう混雑がやや沈まって行ったころに、幾万もの男や女の墓地のような焼け跡から、三つの疑問の死骸が暗い井戸の中に見いだされたという驚くべきうわさが伝わった。

「あゝ――早川賢もついに死んでしまったか。」

この三郎の感傷的な調子には受け売りらしいところもないではなかったが、まだ子供だ子供だとばかり思っていたものがもはやこんなことを言うようになったかと考えて、むしろ私にはこの子の早熟が気にかかった。

震災以来、しばらく休みの姿であった洋画の研究所へも、またポツポツ研究生の集まって行くころであった。そこから三郎が目を光らせて帰って来るたびにいつでも同じ人のうわさをした。

「僕らの研究所にはおもしろい人がいるよ。『早川賢だけは、生かして置きたかったねえ』――だとサ。」

無邪気な三郎の顔をながめていると、私はそう思った。どれほどの冷たい風が毎日この子の通う研究所あたりまでも吹き回している事かと。