Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

じゅんさじしょく

巡査辞職

夢野 久作

Lisez 巡査辞職 (じゅんさじしょく) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 31 907 caractères · 63 écrans

Aozora Bunko

台所で一知が茶漬を掻込んでいるらしい物音に耳を澄ますと、直ぐに跼んで、片手で砥石を持上げてみた。砥石の下には頭をタタキ潰された蚯蚓が一匹、半死半生に変色したまま静かに動いていた。草川巡査は、その蚯蚓を凝視しながら、砥石をソッと元の通りに置いた。

そこへ飯を喰い終った一知が、帯を締め締め、草履を穿いて出て来たので、草川巡査は素知らぬ顔をして台所の入口へ引返して来た。

「殺した奴はどこから這入って来たんか」

「ここから這入って来たものと思います」

一知は、入口の敷居を指した。学問があるだけに言葉附がハッキリしていた。気分もモウすっかり落付いているらしく、平生の通りに潤んだ、悲し気な瞳を瞬いていた。

「この引戸が半分、開放しになっておりました」

草川巡査は一知青年と二人で暗い台所に這入った。継ぎ嵌めだらけの引戸の締りを内側から検めてみた。

「成る程、ここの帰りはこの掛金を一つ掛けただけだな」

「ハイ。その掛金の穴へ、あの竈の長い鉄火箸を一本刺しておくだけです」

「昨夜も刺しておいたのか」

「ハイ。シッカリと刺しておいたつもりでしたが、今朝見ますとその鉄火箸は、この敷居の蔭に落ちておりました」