Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
じゅんさじしょく
巡査辞職
夢野 久作
Lisez 巡査辞職 (じゅんさじしょく) de 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 31 907 caractères · 63 écrans
何が可笑しいのか突然にゲラゲラと笑ったので、草川巡査は又もゾッとさせられた。
草川巡査は妙な顔をしたまま靴を脱いで、台所の板の間に上った。以前の母家から持って来たものであろう。家に不似合な大きな戸棚の並んでいる間から、中の間に通う三尺間を仕切っている重たい杉の開戸を、軍隊手袋を嵌めた両手で念入りに検査した。それは真鍮製のかなり頑固な洋式の把手で、鍵穴の附いた分厚い真鍮板が裏表からガッチリと止めてある。それが、やはりこの家に不似合なものの一つに見えた。
「この把手はお前が取付けたんか」
「いいえ。養母さんが取付けたのだそうです。一軒家だから用心に用心をしておくのだと云って、養母さんが自分で町から買うて来て、隣村の大工さんに附けてもろうたのだそうです」
「そうするとこの家に引移った当時の事だな」
「よく知りませんがヨッポド前だそうです」
「フム。毎晩この鍵を掛けて寝るのか」
「ハイ。私が寝ると、養母さんが掛けに来ます」
「そうすると鍵は養母さんが持って、寝ている訳じゃのう」
「ハイ……そうらしう御座います」
「うむ。惨酷い事をするのう」
そう云って草川巡査は、うなだれている一知の顔を見たが、暗いので顔色はよくわからなかったけれども、モウ肩を震わして泣いているらしかった。