Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

まぼろしのかなた

幻の彼方

豊島 与志雄

Lisez 幻の彼方 (まぼろしのかなた) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 41 763 caractères · 84 écrans

Aozora Bunko

いきなり飛びついていって、両肩に手をかけてぐんぐん押えつけてやった。

「お止しなさいよ、苦しいから。」

彼はなお力を入れた。彼女の小さなまるまっちい身体を、其処に押しつぶし、畳の上にごろごろ転がして、それから両腕で胸に抱きしめてみたかった。肩の手を離して、上から押被さりながら、両膝の下に手先を差入れて、坐ったまま持ち上げた。彼女は笑いながら身を※(「足へん+宛」、第3水準1-92-36)いた。※(「足へん+宛」、第3水準1-92-36)くはずみに彼の手から滑って、其処にどしりと落ちて倒れた。

彼はぼんやりつっ立ったまま待っていた。が彼女は長く起き上らなかった。しまいには肩ではあはあ息をしだした。心配になって覗き込むと、彼女はがばとはね起きて身を退いた。

「あなたはそんなにお胎の児が憎いんですか。」

冗談にしては余りに声の調子が落着いていた。姙娠前に、ふざけるつもりから喧嘩になって、手荒くつき飛されたりなんかした後で、そんなに私が憎いんですか、と彼女はよく云ったけれど、上っ調子のその言葉は、攻撃的なだけで根深くはなかった。それが今は、腹の底から彼に対抗しようとしていた。