Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

まぼろしのかなた

幻の彼方

豊島 与志雄

Lisez 幻の彼方 (まぼろしのかなた) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 41 763 caractères · 84 écrans

Aozora Bunko

透き通るように蒼白い顔の皮膚をたるまして、枕の上にがっくりとなっていた。疲労の余りに興奮した眼だけが、僅かに生気を示していた。

「大丈夫?」

「ええ。」と出るか出ないかの声で彼女は首肯いた。そして赤ん坊の方を、眼付でさし示した。

彼は不思議なものをでも見るような気で、初めて赤ん坊の方を覗き込んだ。皺寄った額、閉じた眼、小さな口、鼻だけがつんと高かった。真赤なぶよぶよの皮膚に、金色の産毛が透いて見えた。眺めていると、前から知ってる顔のような気がしてきた。それがじっと、何時までたっても動かなかった。

生きているのかしら?

指先で頬辺を一寸つっつくと、生温いつるりとした感触がした。喫驚して手を引込める間に、赤ん坊は唇のあたりをかすかに震わした。

「まだ余りお触りなすってはいけませんよ。」と産婆から注意された。

「生きていますね。」と彼はうっかり云ってしまった。

「生きていらっしゃいますとも!」

「でも息をしていないようだったから……。」

産婆が声高く笑い出し、秋子が口許に微笑を浮べたので、彼は漸く安心した。

女中が盥や上敷を片付けた頃、秋子は俄に腹痛を訴えだした。