Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

まぼろしのかなた

幻の彼方

豊島 与志雄

Lisez 幻の彼方 (まぼろしのかなた) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 41 763 caractères · 84 écrans

Aozora Bunko

黒い影が掠め過ぎた。彼は顔色を変えた。不吉だ! という気がした。向うの室にはいってみると、順一と竜子とが床を並べて寝ていた。秋子が分娩した時の通りの位置だった。

そういうことが幾度もあった。

竜子もいつしか、彼の様子に気付いていた。

「屹度あの骨壷がが」]いけないんですよ。お葬式まで寺へお預けなさいましては?」

彼は取合わなかった。

「私もう嫌でございます。恐くって……戸を閉めにもはいられません。あんな所へ骨壷をを」]お置きなすって、どうなさるおつもりなんでしょう?」

終りを独語の調子で呟いて、何かを見つめるような眼付をしていた。

しとしとと雨が降って、今にも雪になりそうな宵だった。

「じゃあどうしろと云うんだ?」

彼は突き放すつもりで、声の調子を尖らせた。彼女はひるまなかった。

「御自分でなさるのがお嫌でしたら、私が何処かへ片付けます。」

後は怒鳴りつけようとしたが、彼女の様子がいつになく真剣だった。まともにじっと彼の眼の中を覗き込んできた。

「俺がするよ。」と彼は叫んだ。

竜子の勝手にさせてなるものか!

彼は或る懸念に囚えられた。離れの室へ走って行って、押入を開いてみた。