Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ひろばのベンチ

広場のベンチ

豊島 与志雄

Lisez 広場のベンチ (ひろばのベンチ) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 6 998 caractères · 15 écrans

Aozora Bunko

後になって十内は、或る友人のさりげない話を聞いて、内心ひやりとしたことがある。

その友人の家に、鼠がよくいてわるさをした。罠や薬剤を用いるのも億劫だし、大人気ないので、ただ追っ払うだけにしておいた。鼠の方ではだんだん図々しくなって、人のいる室にまで進出してきた。

或る晩、彼が夜更しで仕事をしていると、細君がそっとやって来て、茶の間に鼠がはいってるようだと告げた。不届き千万な奴、痛みつけてやれと、足音をぬすんで忍び寄り、襖を閉め切って、鼠をそこに閉じ込めることが出来た。それから電燈をつけ、棒を手にして、鼠を追い廻した。茶箪笥の棚、鴨居の上、長火鉢の陰など、鼠は素速く逃げ廻ったが、しまいにやっと姿を消した。あちこち見調べたら、地袋の棚の上に竹筒の花瓶があるので、その中を懐中電燈で照らしてみると、果していた。鼠は竹筒の中に蹲まって、じっとこちらを見上げていた。懐中電燈の光りで、その顔がまざまざと見えた。もう逃げようともしないで、ただこちらを見ている。丸い眼を一杯見開いてまばたきもせず、こちらを見ている。つまり、懐中電燈の光り中で、鼠とぴったり眼を見合った恰好なのだ。