Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

かげおとこ

影男

江戸川 乱歩

Lisez 影男 (かげおとこ) de 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 154 133 caractères · 310 écrans

Aozora Bunko

何かただならぬ鋭い物音が聞こえたからである。それは銃声であった。ピストルの音であった。そのあとのあまりの静けさに、耳鳴りだけがジーンと残っていた。

ハッとして見まわすと、四方から迫った黒ビロードの人々の手に、ことごとくピストルが構えられていた。実物は七、八人だが、八方の鏡に映る何百何千人。そのおびただしい黒衣の人々が、百千の銃口をこちらに向けておびやかしているのだ。

「手を上げろ」

まっさきに進んだひとりが、死の静寂を破ってどなった。

影男も須原も、すなおに両手を高く上げた。妖異な環境と、みごとな不意討ちが、さしもの悪党どもを、いっせつな、無力にしてしまったのだ。

「殺人請負会社専務、須原正、通称影男、速水荘吉を逮捕する」

それは警官の声であった。どうしてこの地底世界へ、警官がはいりこんできたのか。そんなことは不可能ではないか。だいいち、警察官がぴったり身についた黒ビロードのシャツなど着ているというのは、考えられないことだ。

「きみたちは、いったいだれです」

「ぼくは警視庁捜査一課第一係長の中村警部だ。逮捕状もちゃんと用意している」

黒ビロードの人は、そういって、ふたりの前に一枚の紙片を差し出してみせた。