Classiques japonais avec furigana
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ふくしゅう
復讐
豊島 与志雄
Lisez 復讐 (ふくしゅう) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 9 806 caractères · 20 écrans
とでも言おうか。何もかも取り失った感じなのだ。
うっかり、真意に近いことを饒舌り、急に、お多賀さんから同情されたらしいことも、私の惨めさの原因だった。お多賀さんの同情は、却って、照代を私から遠くへ引離してしまった。
私はひどく疲れた。立ち止って、暗い水面を眺めていると、こんな時に人は投身入水するかも知れないと思い、ぞっとした。晩秋の夜気が身にしみた。屋台店でまた酒を飲んだ。腹の中に嘔き気がたまってくるようで、惨めな上に嫌な気持ちだ。それでも、私は決行しなければならない。なにかに憑かれてるに違いなかった。和服だから懐手をし、眼を足もとに据え、照代の家の方へ行った。
背の低い数本の青木と八手をかこんだ竹垣から少しひっこんで、閉めきってある戸の間に、白紙の端がのぞいていた。近づいてその白紙を引っ張ったが、取れず、私は指先で軽く戸を叩いた。
門燈の淡い光が流れてる街路には人影もなく、家の中にも物音はなかった。私は戸に肩をもたせかげんにして待った。
「どなた?」
全くだしぬけに、戸の向うからお多賀さんの囁く声がした。
私は返事をせずに、戸を軽く叩いた。戸がゆるゆる開かれ、燈火が私の顔を撫でた。