Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

こころのかわ

心の河

宮本 百合子

Lisez 心の河 (こころのかわ) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 18 442 caractères · 37 écrans

Aozora Bunko

けれども、しんのしんの生きる目的、意味と思うものはどこに持っているのだろう。それ等の一つ一つに小分けにこめられているのか。または、釜しきか何かのように、そういう外廓だけは如何にも確り、ちゃんと出来ているが、中心はすぽ抜けなのではなかろうか。自分は、彼との生活のどこに安心し倚(よ)りかかる場所を見つけられるのだろう。……

或る考えに脅かされ、さよは殆ど椅子から立ち上りそうにした。彼女は、落付きのない眼を動して、救いでも求めるように、濡れきった庭や、廊下や、仄暗い庭を見廻わした。外には、自然も人間も圧しくるむような雨が煙って降っている。点滴の音が単調に聴え出した。――さよは、立って廊下の端まで歩いて行った。何かに押し戻されるように柱の下まで来、彼女はそこに佇んだまま、燈火の光が庭の水たまりに写ってチラチラし始める頃まで動かなかった。夜、彼女は出来るだけ平和に良人の抱擁を拒んだ。ひとりにされると、彼女は暗闇の裡で声を殺し劇しく泣いた。さよは、自分がこういう気持で対している良人の子を孕むことを想うと、恐怖と愧(はずか)しさとで手足が氷のようになった。彼女は闇に瞠った眼尻からぼたぼた涙をこぼしながら、自分で何故ともわからない緊張を以て、良人の穏やかな寝息に注意を凝した。