Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちゅうぼく

忠僕

池谷 信三郎

Lisez 忠僕 (ちゅうぼく) de 池谷 信三郎 (いけたにしんざぶろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 2 898 caractères · 6 écrans

Aozora Bunko

3

久助も身体を曲げて、隅の方に酔い寝して了った。

3

翌朝、ケロリとした顔をして、久助は主人の前へ呼び出された。

主人は、人間の性が如何に善であるかを、諄々として説いてやった。皆んな一時の出来心で悪い事をするのだ、お前だってそうだろう、と云った。

その通りです、と久助がぴょこんと頭を下げた。眼の中に一杯涙を溜めていた。

そうだろう、そうだろう、私しゃお前を信じている。お前は私の信頼を決して裏切るような男じゃない。その証拠をお前はきっと見せてくれるだろう。――そして主人は日頃読んでいる、トルストイの「ポリクシュカ」と云う小説を思い出した。

彼は立上って、やがて帳場の金庫から財布を持って出て来た。中から十円札を三十枚数えると、それを久助に渡して、云った。それじゃわしは、お前に今日、大切な用件を頼むよ。昼から、孟宗の荷を三島へ出すから、お前が従いて行って、いつもの丸久へ売り渡し、その代金と、それからこの三百円を一緒に、三島の銀行へ預けて来ておくれ。良いかい?

主人は出来るだけ優しい言葉を使った。そうやって久助の良心の中に、しっかり監視をつけてやった。

久助は涙をぽろぽろと流し乍ら、かしこまりましたと云った。