Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ただなおきょうぎょうじょうき

忠直卿行状記

菊池 寛

Lisez 忠直卿行状記 (ただなおきょうぎょうじょうき) de 菊池 寛 (きくちかん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 23 602 caractères · 47 écrans

Aozora Bunko

許婚の夫ある娘を得て、少しも慰まなかった彼は、さらに非道な所業を犯した。それは、家中の女房で艶名のあるものを私に探らしめて、その中の三名を、不時に城中に召し寄せたまま、帰さなかったことである。

主君の御乱行ここに極まるとさえ、嘆くものがあった。

夫からの数度の嘆願にかかわらず、女房は返されなかった。重臣は、人倫の道に悖る所業として忠直卿を強諫した。

が、忠直卿は、重臣が諫むれば諫むるほど、自分の所業に興味を覚ゆるに至った。

女房を奪われた三人の家臣のうち、二人まで忠直卿の非道な企ての真相を知ると、君臣の義もこれまでと思ったと見え、いい合わせたごとく、相続いて割腹した。

横目付からその届出があると、忠直卿は手にしていた杯を、ぐっと飲み干されてから、微かな苦笑を洩されたまま、なんとも言葉はなかった。家中一同の同情は、翕然として死んだ二人の武士の上に注がれた。「さすがは武士じゃ。見事な最期じゃ」と、褒めそやす者さえあった。が、人々はこの二人を死せしめた原因を、ただ不可抗力な天災だと考えていた。一種の避くべからざる運命のように思っていた。

二人が前後して死んでみると、家中の人々の興味は、妻を奪われながら、只一人生き残っている浅水与四郎の身に集っていた。