Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おもいでぐさ

思い出草

岡本 綺堂

Lisez 思い出草 (おもいでぐさ) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 5 303 caractères · 11 écrans

Aozora Bunko

また、その頃のことで私が能く記憶しているのは、道路のおびただしく悪いことで、これは確に今の方がいい。下町は知らず、我々の住む山の手では、商家でも店でこそランプを用いたれ、奥の住居では大抵行灯を点していた。家に依ては、店頭にも旧式のカンテラを用いていたのもある。往来に瓦斯灯もない、電灯もない、軒ランプなども無論なかった。随って夜の暗いことは殆ど今の人の想像の及ばない位で、湯に行くにも提灯を持ってゆく。寄席に行くにも提灯を持ってゆく。加之に路が悪い。雪融けの時などには、夜は迂濶歩けない位であった。しかし今日のように追剥や出歯亀の噂などは甚だ稀であった。

遊芸の稽古所というものも著るしく減じた。私の子供の頃には、元園町一丁目だけでも長唄の師匠が二、三軒、常磐津の師匠が三、四軒もあったように記憶しているが、今では殆ど一軒もない。湯帰りに師匠のところへ行って、一番唸ろうという若い衆も、今では五十銭均一か何かで新宿へ繰込む。かくの如くにして、江戸子は次第に亡びてゆく。浪花節の寄席が繁昌する。

半鐘の火の見梯子というものは、今は市中に跡を絶ったが、私の町内――二十二番地の角――にも高い梯子があった。