Classiques japonais avec furigana
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かいとうおう
怪塔王
海野 十三
Lisez 怪塔王 (かいとうおう) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 167 635 caractères · 337 écrans
ちょうどそのとき、塔の向こうから、車の轍の音がごとごと聞えてきました。
そのうちに塔の前に姿をあらわしたのは、大きな木箱を積んだ馬車でありました。馭者は台の上にのっていましたが、酒にでも酔っているらしく、妙な声ではな唄をうたっていました。車をひっぱる痩馬は、この酔払い馭者に迷惑そうに、とぼとぼとついていきます。
「こーら、老いぼれ馬め、もっとさっさと歩くんだ。俺さまの手にある鞭の強いことを、手前は知らないな」
ぴしりと鞭は、空中に鳴りました。
痩馬は、痛さにたえかねたらしく、ひひんと嘶いて急に駈けだしました。そのとき、車の上から、積んでいた木箱がつづいて二つ、がたんと地上に転げおちました。それは馬車が急に走りだしたせいでありましょう。
木箱二つが、砂の上に転がりおちたことを馭者は知らないようでありました。彼はなにかわけのわからぬことをわめきながら、かわいそうな痩馬に、ぴしぴしと鞭を加えて走らせていきます。そしてそのまま闇の中に見えなくなってしまいました。
砂上にのこされた木箱二つ。いつ誰が拾いにきてくれますやら。
この木箱の落ちたところは、ちょうど例の怪塔の扉の前でありました。