Classiques japonais avec furigana
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かいいくろひめおろし
怪異黒姫おろし
江見 水蔭
Lisez 怪異黒姫おろし (かいいくろひめおろし) de 江見 水蔭 (えみすいいん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 963 caractères · 26 écrans
拙老が手伝うて遣わすぞ」
「何から何まで御親切な」
滝之助は感激した。
この老翁そもそも何者ぞ。見掛けは仙家の者ながら、敢て殺人の罪を憎まぬのみか、屍骸取片付けの手伝いまでする。見掛け倒しの曲者なる哉。
三
地震の滝道の樺林の中に、深さ六尺位、広さ五六畳程の竪穴を掘り、その上に半開の唐傘式に木材を組合せ、それに枯茅を葺いて屋根とした奇々怪々の住居。それが疑問の老翁の隠宅であった。
老翁は真堀洞斎と云い、京の医師という事。それが数年前からこちらへ来て、黒姫山中に珍奇の薬草を採集する目的で、老体ながら人手を借りず、自ら不思議な住居を建て、隙さえあれば山野の中にただ一人で分入るのであった。
「暖国には樹上の家、寒国には土中の室、神代には皆それであった」
土地の者にも土室が好い事を勧めていた。この洞斎の住居を夜に入って密々に訪れたのは、昼の約束を履んだ滝之助であった。
「おう、持っていた。さァ」
初夏でも夜は山中の冷え、炉には蚊燻しやら燈火代りやらに、松ヶ根の脂肪の肥えた処を細かに割って、少しずつ燃してあった。
室内に目立つのは、幾筋も藤蔓を張って、それに吊下げて有る多数の印籠。