Classiques japonais avec furigana
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かいだんおぼえちょう
怪談覚帳
田中 貢太郎
Lisez 怪談覚帳 (かいだんおぼえちょう) de 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 1 219 caractères · 3 écrans
こそ狸のことをたしかめてやろうと思って、ガンギリで蕎麦を喫って日を暮し、夜になるのを待って出発した。そして、荒倉山にかかったところで、ふと見ると猫のような一疋の獣が傍を往くので、狸かもわからないと思いおもい跟いて往った。と、其の獣は樹の茂っているところへ往って、木の葉をとって体につけだしたが、つけるに従ってそれが衣服になり、袴になり、やがて刀をさした男になった。庄屋はそれを見て感心した。それに其の男の恰好がどう見ても己とそっくりである。おかしいぞ、此の狸奴、おれに化けて何をするつもりだろう、と思っていると、坂をむこうにおりて往くので跟いて往った。狸は山をおりて弘岡の下の村へ入り、其の庄屋の家の前へ往った。庄屋は此の狸奴、おれに化けておれの妻室をばかすと見える、と思っておると、狸は其の庄屋と同じ声で、
「今もどったぞ」と云った。すると女房が出て来た。狸は女房について上へあがった。庄屋は此の畜生、おれの女房をなぐさむつもりかも判らないぞと、外から縁側へあがって庖厨の障子の破れから覗いて見ると、狸は女房と話をしておる。其の時女房は狸に、
「御飯をおあがりになりますか」