Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
きょうふのくちぶえ
恐怖の口笛
海野 十三
Lisez 恐怖の口笛 (きょうふのくちぶえ) de 海野 十三 (うんのじゅうざ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 60 713 caractères · 122 écrans
といって目を瞑じ、胸に十字を切った。
「そうだ、貴方はいまその辺に見なかったですか、怪しい男を……」
「怪しい男? 貴方以外にですか」
「ええ、もちろん僕のことではないです。こう顔の半面に恐ろしい痣のある小さい牛のような男のことです」
「いいえ。あたくしは今、車を下りて、真直にここまで歩いたばかりですわ」
ジュリアはまるでレビュウの舞台に立っているかのように、美しい台辞をつかった。側に立つルネサンス風の高い照明灯は、いよいよ明るさを増していった。
「その痣のある男がどうかしたのですか」
「いや、僕がいま追駈けていたのです。もしや犯人ではないかと思ったのでネ」と一郎は云ってあたりの木立を見廻わした。夕闇はすっかり蔭が濃くなって、これではもう追駈けてもその甲斐がなさそうに見えた。
そこへバラバラと跫音が入り乱れて聞えた。二人がハッと顔を見合わせる途端に、夕闇の中で定かに分らないが、十歳あまりの少年が駈けこんできた。そして後方をクルリとふりむいて大声に叫んだ。
「オーイ、早くお出でよ、大辻さーん」
向うの方からも、別な跫音がバタバタと近づいてきた。
「待て待て、勇坊、ひとりで駈けだすと、危いぞオ」