Classiques japonais avec furigana
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あくじゅうへん
悪獣篇
泉 鏡花
Lisez 悪獣篇 (あくじゅうへん) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 36 715 caractères · 73 écrans
「もし、」と両膝をついて伸び上った。
「婆とお云いなさいますのは。」
「それ、銀目と、金目と、赤い目の奴等よ。主達が功徳での、地蔵様が建ったが最後じゃ。魔物め、居処がなくなるじゃで、さまざまに祟りおって、命まで取ろうとするわ。女子衆、心配さっしゃんな、身体は清いぞ。」
とて、鑿をこつこつ。
「何様それじゃ、昨日から、時々黒雲の湧くように、我等の身体を包みました。婆というは、何ものでござるじゃろう。」と、廉平は揖しながら、手を翳して仰いで言った。
皺手に呼吸をハッとかけ、斜めに丁と鑿を押えて、目一杯に海を望み、
「三千世界じゃ、何でも居ようさ。」
「どこに、あの、どこに居ますのでございますえ。」
「それそれそこに、それ、主たちの廻りによ。」
「あれえ、」
「およそ其奴等がなす業じゃ。夜一夜踊りおって騒々しいわ、畜生ども、」
とハタと見るや、うしろの山に影大きく、眼の光爛々として、知るこれ天宮の一将星。
「動くな!」
と喝する下に、どぶり、どぶり、どぶり、と浪よ、浪よ、浪よ渦くよ。
同時に、衝とその片手を挙げた、掌の宝刀、稲妻の走るがごとく、射て海に入るぞと見えし。
矢よりも疾く漕寄せた、同じ童が艪を押して、より幼き他の児と、親船に寝た以前の船頭、三体ともに船に在り。