Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

かなしいごかい

悲しい誤解

豊島 与志雄

Lisez 悲しい誤解 (かなしいごかい) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 11 139 caractères · 23 écrans

Aozora Bunko

退出時刻になると、私は待ちかまえていて真先に立ち上った。

往来に出て、斜陽を浴び、初めて大きく息がつけた。ところが、笠原が私を追っかけてきた。

「ちょっと、一杯つき合わないか。」

私は眉をしかめて、黙っていた。

「焼酎にしようか、ビールにしようか。金は僕が持ってるよ。」

彼はいつも奇妙に金を持ってるのである。独りでビヤホールにきめて、途中でウイスキーの小瓶を買った。ジョッキーにウイスキーをたらして飲むけちなやり方を、彼は却って得意がってるのだ。

秋の凉気に、ビヤホールはすいていた。

「君はどう思う、今日の梅田の通牒を。」

彼は腹立たしげにビールをあおった。私の無関心な態度に、彼はなおいきり立ったようだ。

「懇談会とは何だい。なぜ組合会議としないのか。円満辞職を聊かなりとも……ばかな、この失業時代に、聊かなりとも望む奴があるものか。何のことはない、退職希望者を無理にも拵え出して、人員整理に協力しようというわけだ。あいつ一人の考えじゃないね。専務と共謀の芝居に違いない。」

それから彼はいろいろなことを饒舌った。組合運動などと言っても、オフィスの中に幽閉されてるわれわれは、まるで虚勢されてるのと同じで、何にも出来はしない。