Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

せきべつ

惜別

太宰 治

Lisez 惜別 (せきべつ) de Dazai Osamu (太宰 治) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 91 984 caractères · 178 écrans

Aozora Bunko

勝ったから、いいのだ。戦いは、これだから、絶対に勝たなければならぬ。戦況ひとたび不利になれば、朋友相信じる事さえ困難になるのだ。民衆の心裡というものは元来そんなに頼りないものなのだ。小にしては国民の日常倫理の動揺を防ぎ、大にしては藤野先生の所謂「東洋本来の道義」発揚のためにも、戦いには、どんな犠牲を払っても、必ず勝たなければならぬ、とその夜しみじみ思った。

旅順の要塞が陥落すると、日本の国内は、もったいないたとえだが、天の岩戸がひらいたように一段とまぶしいくらい明くなり、そのお正月の歌御会始の御製は、

富士の根ににほふ朝日も霞むまで

としたつ空ののどかなるかな

まさに日本は、この時、確実に露西亜を打破ったのだといってよい。このお正月の末あたりから、帝政露西亜に内乱が勃発し、敗色いよいよ濃厚になり、日本軍は破竹の勢い、つづく三月十日、五月二十七日、日本国民として忘るべからざる陸海軍の決定的大勝利となり、国威四方に輝煥し、国民の意気また沖天の概があったが、この日本の大勝利は、異国人の周さんにまで、私たちの想像の及ばぬほど強い衝撃を与えていたのである。