Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

いよくのちっそく

意欲の窒息

豊島 与志雄

Lisez 意欲の窒息 (いよくのちっそく) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 3 737 caractères · 8 écrans

Aozora Bunko

固より妊娠は彼女のうちに神秘な母性をよび覚すが、それも彼女の情感を彩るだけで、彼女の心意を撼がしはしない。そして営養不良と身体薄弱のために胎児剥離の必要に当面すると、涙一滴浮べずに、簡単にそれを承諾してしまう。恐らく「脚を一本頂戴しましょうと申渡されても素直に承諾しそうだ。」――そして彼女の愛人にとっても、彼女の妊娠は滑稽な開闢以来の椿事であり、胎児剥離の手術は一寸した肉体上の事件に過ぎない。そんなことは早くすませて、海へ行って、牡蠣を喰べて、日光浴をすることだ。「サバサバしちゃったとこで、それから海だ! 黒くなってこようぜ、二人で。」

こういう二人は、如何にも近代的であり、一寸見たところ、如何にも尖端的である。然しその尖端は、時代の尖端では断じてない。単に頽廃の尖端であるに過ぎない。社会が処々に作ってる淀みのなかの、一番先の方に、停滞し頽廃して、末梢的な感性だけで生きてるのである。彼等が海へ行って、健康になって、そして帰ってきたところで、やはり同じ生活、意欲のない生活に、立戻るだけのことではあるまいか。

病根はどこにあるのか。没落種族というような宿命的なところにあるのではない。