Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

つきもの

憑きもの

豊島 与志雄

Lisez 憑きもの (つきもの) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 983 caractères · 27 écrans

Aozora Bunko

速記がすんでから、なお酒を飲みながら、雑談はしぜんに怪奇な方面に向っていった。ばかばかしい話や不思議な話がたくさん出た。

「どうにも合点のゆかないことがあるものです。」と私の同僚の黒田が話した。

彼は或る夜、したたか酒を飲んで、中央線の終電車で帰途についた。もうバスがなくなっていたので、駅から三キロばかりの道を歩いた。中程に交番があって、そこまでは無事に行けたが、それから先が、いくら歩いても果しなくなった。一本道ではないが、時折歩くこともあるので、迷うわけはないのに、いくら歩いても家に着かない。酒の酔いもさめかけてきて、ただやたらに歩いた。それでも、だんだん家に遠ざかるような気持ちさえして、無限の遠いところに家はあるようだ。道に迷ったのではなく、空間に迷ったという感じだ。それでもなお歩いていると、もしもし、と呼び止められた。巡査が立っていて、どこに行くのかと尋ねられた。気がついてみると、先程たしかに通りすぎた交番の前だ。あなたはここを三度も通った、いったいどこへ行くのか。巡査は不審そうに訊問する。黒田は頭がはっきりしてきて、自分ながら呆れた。どうやら、ただ大きく迂回していて、交番の前を三度も通って気付かなかったものらしい。