Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

わがやのらくえん

我が家の楽園

久生 十蘭

Lisez 我が家の楽園 (わがやのらくえん) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 90 195 caractères · 175 écrans

Aozora Bunko

というような噂がたつと、たちまち身分にさわる。二十五日の空襲で、麻布一帯が焼かれたというラジオのニュースには、賢夫人と長女さまは信州の疎開先で、当主の石田九万吉氏はボルネオの任地で、思わず「万歳」と、同感の意を表したものだった。

いっそ爆撃でもされれば、荷にならなくていいと、一家の誰もが、ひそかに焼けてくれることを望んでいた大屋台が、金のありあまる国のひとに接収されたと聞いたのは、わが石田一家が、渋谷の奥のバラックでまとまりをつけてから、半年ほど後のことだったが、聞くなり、「へえ」と顔を見あわせた。石田氏などは、どうしても事実とは信じられず、わざわざ麻布まで偵察に出かけ、

「シュラー・ハークネスという、英語の大きな表札が出ていた。嘘じゃなかったんだ」

と不審そうな顔で報告した。

そういう意外な思いはあったが、切羽詰った生活の場で、三ヵ月後払い、指定銀行払いの小切手というややこしい形式であっても、石田氏の俸給より、はるかに上廻る金が、毎月、滞りなく入ってるのは、ありがたすぎて、夢のようだった。

局長級の収入をもちながら、この上もない、都合のいい言いぬけがあるので、無理をすることは、すこしもいらない。