Classiques japonais avec furigana
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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
Lisez 我が愛する詩人の伝記 (わがあいするしじんのでんき) de 室生 犀星 (むろうさいせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 116 728 caractères · 231 écrans
詩の韻律行形はがたがただが、がたがたな中にある感情のすなおさは、ちょっと類のないものを見せている。実に稀なほど生一本の詩人なのだ。
詩というものは長詩の形をとる時の失敗にくらべると、短かい詩とか断章の場合は、見方にも、表現にも尖鋭なつっ走りがあって、この「若き囚人」の場合では、見事な、まるで別人の作品のおもむきを表わしている。
若き囚人
S監獄の煉瓦壁の上から
二十二三の若い囚人が
世間を覗いてゐる
その桃色の半面は美しく燃えてゐる。
彼の心は遠くへ飛んで居る。
私は
私は本を売りにゆく
屈辱に思つて眼に涙が浮ぶ
本屋の主人にそれを見られるのが辛いので
入りにくゝなる、努めて元気になり
自分を装つて入つてゆく、涙をぐつと飲み込んで
私にも
私にも妻子がある
私にも家庭がある
夕暮の天地に満ちる
大安息の中で私はかく思ひ涙ぐむ
この二篇にある善良な性格は、全く詩を書く人でなかったら、何のわざにも従けなかったであろう、ふつうの人間はこんなに正直にものを言うことは出来ない、詩人のなかでも千家のように、大上段の純朴を少しの顧慮なく表わし得る人は、まず彼一人と言ってよいであろう。
千家元麿の周囲には、すばらしい友人達がいて、名利に頓着のない彼を陰から劬った。