Classiques japonais avec furigana
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わがあいするしじんのでんき
我が愛する詩人の伝記
室生 犀星
Lisez 我が愛する詩人の伝記 (わがあいするしじんのでんき) de 室生 犀星 (むろうさいせい) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 116 728 caractères · 231 écrans
私は率直に白秋の子供の時分の話を聞きたいといったが、家子さんは八歳ちがいの兄だったが、帰郷して俥から下りた兄をお友達とテニスをしていて、それを打っちゃって迎えに出たおぼえがある。しかし鉄雄さんが生きていらしったら、もっと面白い話があるでしょうが、それほど今急に思い出すこともないといわれた。聞き出すことは知っていても、ぬけぬけとはいわれず、私は万年筆で二行ばかり書いて、万年筆を袂にしまい込んだ。私の家に筆記をしに来た人はいままでたくさんいたが、みなノートに三、四枚は速記して行ったようである。だのにおれはたった二行しかまだ書いていない、これは怠慢だ、こんなことで若し雑誌社に勤めなければならなくなったら、編集長から小酷く叱られるぞと反省してみたが、腕時計はもう今日はと言って挨拶してから二十分間過ぎていた。家子さんは血圧が二百くらいあるし、心臓もわるかった。それだのに面白くもない皺苦茶面の私が坐りこんでいては、血圧に影響すると思い、何にも聞かないでおわかれしたのである。
表に出た私をやはり表の道路まで見送られた家子さんに対い、きまり悪げに帽子をひねくりながら言った。