Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あるさっかのやくび

或る作家の厄日

豊島 与志雄

Lisez 或る作家の厄日 (あるさっかのやくび) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 10 284 caractères · 21 écrans

Aozora Bunko

あとは、二人きりの時間であり、二人きりの世界だ。

どういうことになるか、それだけは見当がつかない。

「あなたの書斎が見たい。あなたの書斎で、お酒に酔いたい。」

抱擁のなかで、彼女は言った。真剣な語気だった。

実は、何の特長もない、むしろ見すぼらしい書斎なのだ。然し、画家のアトリエとか、小説家の書斎など、他人には、神聖な場所とも思えるらしい。当人にとっても、時としてはそうなんだから、もっともなことだ。あなたの書斎が見たいとは、三十五歳にもなる人妻の、単なるロマンチックな気持ちからではあるまい。その上、いや最も肝腎なのは、情愛の問題だ。おれだって、彼女の寝室を覗きたいし、彼女の寝室で、お酒に酔ってみたい。彼女は、おれの書斎で……。

気兼ねのいらない安全な場所がほしかった。相馬邸は人目が多い。旅館とか待合は彼女が好まない。いつでも自由に逢える場所はないものか。おれの方では、スキャンダルなんかは一向に恐れない。彼女の方でも、世間体をそうびくびくしてるわけではない。老いらくの恋で人妻を奪った者さえある。けれど、二人の仲は秘密にしておく必要がある。

原因は、彼女の主人の吝嗇にある。