Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
あるよのたけだりんたろう
或る夜の武田麟太郎
豊島 与志雄
Lisez 或る夜の武田麟太郎 (あるよのたけだりんたろう) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 3 499 caractères · 8 écrans
も一つは、連れがあろうとあるまいと、そんなことには頓着なく、恰も自分一人ででもあるかのように、気の向く方へ、鼻の向く方へ、さっさと歩き去ってゆくのだ。
武田はたいてい後者だった。他人は眼中になく、独立独歩の調子だった。最近、周囲に対する顧慮を聊か示すことが多くなったようで、社交的になったのかなと、私は内心微笑したものだった。小林で飲んでた頃は、二人で対坐していても、何かをふと思い出しでもしたかのように、すっと立ち上ることも珍らしくなかった。もっとも、私の方にもそんなことはあった。
だから、あの夜明け、武田が親切だったと女中に聞かされて、私はちょっと腑に落ちない気がすると共に、へんに淋しい心地になった……それを、今、はっきりと思い出すのである。
日華事変から次で戦争中、多年、私は武田に逢わなかった。だがいつも親しい気持ちでいた。終戦後、逢う機会が多くなり、武田のうちに或る種の社交調を見出して、ちらと微笑めいた落着かなさを感ずることがあった。そして、いつかゆっくり二人で飲みたいものと思った。
その武田が突然、まったく突然、亡くなってしまった。過労になるほど仕事をしなくても、と思うのは、吾々凡根の故か。