Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あるおんなのしゅき

或る女の手記

豊島 与志雄

Lisez 或る女の手記 (あるおんなのしゅき) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 18 447 caractères · 37 écrans

Aozora Bunko

而も昼間になると妙にぼんやりして、凡てを忘れたような放心状態になった。

やはり私にはそれが運命だったのだ。私はもうどうすることも出来なかった。昼と夜とが別々の世界になってしまった。昼間はまるで白痴のような時間を過した。夜になると一人では寝られなかった。御両親と弟と皆で一つ室に寝て貰った。それでも私は時々、彼の幻を見て飛び起きることがあった。

御両親の心配はどんなだったろう! 私はただ晩にうなされるとだけで、本当の原因は云い得なかった。うち明けたら猶更御両親の心配は増すだろうと思ったからである。

私は日に日に痩せ衰えていった。そして東京の兄さんに逢いたくなって、簡単に事情を知らした。兄さんはすぐにやって来られた。それが十二月二十七日だった。私はもう二三日のうちに死ぬものだと覚悟していた。

兄さんは私から詳しいことを聞いて、非常に驚かれたようだった。けれどもわざと平気を装って、気のせいだと云われた。そして兎も角も、出来るだけ安静にしているように私に命ぜられた。晩には催眠剤を飲ませられた。お医者の診察では、私は極度の神経衰弱で、その上心臓が非常に弱ってるとのことだった。