Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あるひのたいわ

或る日の対話

豊島 与志雄

Lisez 或る日の対話 (あるひのたいわ) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 5 277 caractères · 11 écrans

Aozora Bunko

その時、獅子も新たな森にはいる時ちょっと立ち止るように、吾々も一足止めて、深く息をするであろう。

この息の間に、旧きものの喪が忍びこんでくる。今迄の大気や大地や食物や衣服や酒や煙草の、最後の残り香は、まだ身辺に立ち迷っているのである。それは第一義的なものではなく、思想や理念を柔かくくるむ雰囲気に過ぎない。だが、そういう雰囲気は旧き世界にのみあって、新たな世界にはまだ醸成されず、思想や理念はすべて荒々しく露呈され、そこに踏み込む吾々にも謂わば心身の赤裸が要請される。

而も、この新たな世界は、吾々自身の力によって戦い取られたものではなく、突如として前途に開かれたものである。吾々は国際的にはただ敗戦国民の一員に過ぎない。国家を無視して、個人から民族から人類へと眼を走せ、人間の新世紀を想見する時、そこに於いて、顧みて自己の孤立が感ぜられる。そこには、知人もなく、友人もなく、恋人もない。吾々は単独で途を切り開かねばならない。発足は同時に開拓でもある。

足下に、きびしい境界線が引かれているのである。この一線を真に乗り越すには、決意の合間のたゆたいの一瞬、深い寂寥に堪え得なければならない。