Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
せんそうざっき
戦争雑記
徳永 直
Lisez 戦争雑記 (せんそうざっき) de 徳永 直 (とくながすなお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 149 caractères · 25 écrans
中隊長は、近づき来る約一個中隊ばかりの黒影を見遣りながら、決心したらしく、「伏射の構え」を命じて、自分も指揮刀を握り直して伏した。
二百米突から、だんだん近づいて百米突…………と、近づいて来たが、中隊長は次の命令を発さなかった。しかも如何にも可笑しいのは例の喚声である、遠くではそうでもなかったが、近づくにつれて、如何にも張りのない「ワァ、ワァ」であった。
まるでお経の合唱みたいであった。
中隊長は指揮刀を幾度か動かそうとして躊躇した。そして遂に、その多数の黒影が、百米突あまりに近づいたとき、斥候の一人が走せ戻って来て報告した。
「中尉殿、前面の兵は、負傷した×中隊と×中隊とが、退却しつつあるのであります。おわり」
皆はびっくりして、近づいて行くと、件の喚声は、何という事だろう! 退却する負傷兵の泣き声であった。空洞のような大の男たちの泣き声であった。
「その中隊は、殆んど誰でもが、負傷しとりました。彼処の土地の名は忘れましたが、随分激戦でした。まだ私には、あの変ちきりんな泣き声が、耳に残っとりますが、あの狂人じみた泣き声は首山堡で、自分がやられるまでは、わかりまっせんでしたたい」