Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

せんそうざっき

戦争雑記

徳永 直

Lisez 戦争雑記 (せんそうざっき) de 徳永 直 (とくながすなお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 12 149 caractères · 25 écrans

Aozora Bunko

一ばん下の弟が母に抱かれて、その次に妹、その隣に姉、母のすぐ背後が私であった。

「戦争はナァ、ズウッとあっち、満洲ていうところ!」

しかし満洲が、私達の家の西に当るか、東に当るか、母も知らないらしかった。姉が指して、

「あっち? こっちの方?」

と云っても、母はまちまちに答えていた。

母は気丈な女であった。四人の子供を抱えて、毎日細いながらも、煙をたてていった。

「一人一合扶持なんかで、食ってゆけるもんか」

区長さんのところから、出征軍人の遺族扶助米として、月に二三度届けてくれる僅かの米袋を見るたびに、母は何かに欺されたもののように怒って、米袋を投げつけた。母は毎日、大きな笊を、天秤棒で担って、二十三連隊の営内に、残飯を担いに行った。毎日兵士が喰いあました飯や、釜の底に焦れついた飯や、残りの汁なんかを、一荷幾らで入札して買って来た。そして近所の同じ貧乏な、お内儀さんたちを呼んで来て、それを頒けたり、売ったりした。

それで、父の出征したのちは、新しく炊いた飯は、一度も喰うことがなくなったが、とにかく、二度も三度も蒸しかえした残り飯でも、飢じい思いはせずに、私達は暮した。