Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ばんしゅうへいや
播州平野
宮本 百合子
Lisez 播州平野 (ばんしゅうへいや) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 106 683 caractères · 214 écrans
妻たる自分のこの手の指、この足が重吉につながっている。互の間にひとしおの理解と献身の泉が掘りぬかれた。第二の新婚が経験された。それは、未熟なひろ子にもたらされた一つの豊かな変革であった。
ひろ子は、十二年の歳月のうちにこういう思いを経て来ている。重吉が帰る。――もしも、もしも何かの事情でそれが実現しなかったら。もう少しというところで、何事かが重吉の身の上、或は重吉のもっている条件の上に起ったら。
ひろ子は、生きていなければならなかった。それがいつになろうとも、重吉と暮せるときが来るまで、頑固に生きて行かなければならなかった。その失望が、自分を生きにくくするかもしれない、と思うほどの待望を、今、ひろ子は却って自分から押しのけようとするのであった。
友人たちの話との間に、宵宮の祭りにあたったその町の夜の往来をカラコロ、カラコロと通ってゆく下駄の音が冴えて聞える。リーンとすんだ自転車のベルが駛けぬけてゆく。久しぶりに聴く都会の夏の夜らしい物音に、ひろ子は懐しく耳を傾けた。本棚にもたれ、団扇を膝においているひろ子の心に、重吉への思い、一家の柱である息子を失った田舎の母たちの生活への思いが、絡み合って浮び、消えた。