Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ぎじしんねん
擬似新年
大下 宇陀児
Lisez 擬似新年 (ぎじしんねん) de 大下 宇陀児 (おおしたうだる) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 4 694 caractères · 10 écrans
サンマの匂いがしたろうねとか、また、大きなビフテキができたろうとか、焼けた家の人にまともにいつたら、横面をひつぱたかれるような、呑気なおしやべりをしている見物人がある。私も、それを聞いて、ちよつと吹き出していた。
遠廻りして、火災現場の向う側にある空地へ出てみる。
この空地も、見物人でいつぱいで、ところどころ、運び出した蒲団や家具や商品が、地べたへ、雑然として置いてある。写真が百枚近く散らばつて、靴に踏まれ、泥まみれになつているのがあつた。新郎新婦らしい写真があり、家族団欒の写真がある。ふいに、私の胸へ、何か哀れな感じが湧いてきた。そして私は、立教や乱歩の家の方へ行く広い通りへ出て、馴染みになつている蒲団屋や菓子屋や金物屋は、まつたく被害がなかつたのを確かめてから、三十円の蜜柑を買つて食べながら、ゆつくり家へ帰つてきた。
が、雑誌の正月号への随筆を書かねばならない。
そこで、新年の御慶となつたわけだが、何がさて今日は十一月の十二日だ。ねつから新年らしい気持が出ない。明日は、十三日で金曜日だ、なんてことを思つてみる。どうも気分がぴつたりしない。むりにお正月の気持になり、のんびりしたことを書こうと決心する。