Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ほうろうのやど
放浪の宿
里村 欣三
Lisez 放浪の宿 (ほうろうのやど) de 里村 欣三 (さとむらきんぞう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 14 066 caractères · 28 écrans
業慾そうな猶太系の赧ら顔の主人が、風の入りそうもない店の奥の薄暗いカウンターに、ボイルされた、ポテトーみたいに、湯気の吹きそうな寝顔を投げ出していた。
若者は注意深くロシヤ人の酒場を盗み見ながら、そのまま瞬間の思案もなく正念寺の黒門に吸われて行った。門のなかはアカシヤと楡の木立が自然のままに生い育って、その樹間はほの暗いほどの雑草に埋れていた。本堂に通じる路だけが、それでも白く掃き清められていた。
若者は二三歩よろめいて行ったが、ふと突然に立ち止った。ここにまで裸体の苦力が侵入して来て、木影の雑草のなかに、鯖みたいな物凄い人間の腹が無数に映ったからである。彼は感じ深い面持で、そのいぎたない風情を眺めた。そして無料宿泊所が、自分たち同国人にのみしか与えられない恩恵を、阿弥陀如来の広大無辺の教義に民族的な息窒りをすら感じながら、本堂脇の玄関に歩いて行った。
「ごめん下さい」と、彼は襖の端に投げ出された毛脛を眺めながら、二声ばかり呼んだ。すると泡喰いながら、毛脛がぴょこッと縮むと、白い腰巻一つの坊主が頭から這い出して来た。
「お世話になりたいと存じますが……」