Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ほうろうさっかのぼうけん
放浪作家の冒険
西尾 正
Lisez 放浪作家の冒険 (ほうろうさっかのぼうけん) de 西尾 正 (にしおただし) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 16 694 caractères · 33 écrans
「うれしいわ、うれしいわ、うれしいわ」
などといいながら部屋のまんなかで、首にだきついてぐるぐるまわったりするので、すくなからずおれは面喰った。
じいっと耳をすますと隣室やほうぼうの部屋々々の壁をとおして、えへんえへんとのどをきる音やぼそぼそいう会話がきこえてくる。のんきな人間にゃきこえないのだろうが、おれの聴覚はドビュッスイのように鋭敏だ。戸外が死のようにしずまりかえって、家がひろすぎたりして、なにかこうおっかない事件がおこりそうな、場所が場所だけにひどくぶきみな思いをした。
おれの体があまり健康でないということは説明するまでもないだろう。ひるよる逆のまるで梟のような日々をおくっている体には、ながねんの夜露が骨のずいまでしみこんでいて、五年や十年の摂生でははらえそうもない。なまじいはらおうとも思わぬ。なんのための摂生だろう。なんのための養生だろう。摂生といい養生といい、どこにもたよるべき家郷をもたぬ永遠のヴァガボンド、よせうつ寂寥と孤独と絶望の波をたえず頭からひっかぶっているおれにとって、それはまるで泡みたいなものだ。おなじ泡なら泡盛のほうがいい。