Classiques japonais avec furigana
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こきょう
故郷
豊島 与志雄
Lisez 故郷 (こきょう) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 2 000 caractères · 4 écrans
釧路川の鮭を石狩川に移住せしめたら、彼等は石狩川を己の生れ故郷とするであろう。
ユダヤ民族に、例えば印度の一部を与えたならば、彼等はその土地に民族として安住するであろう。朝鮮民族についても、同様であろう。日本民族としても、日本の故地を失って例えば亜米利加に土地を得るならば、其処に民族として定住するであろう。
然しながら、私一個人としては、安住の地は生活の地である。他人の土地であろうと、異人種の間であろうと、そんなことは問題でない。
個人は、自分の仕事――生活――さえあれば、其処に安住する。仕事――生活――を失った時に、根こぎにされる。民族は、自分の土地さえあれば、其処に安住する。土地を失った時に根こぎにされる。
茲に一言断っておきたい。個人の生活というも、結局は個人の土地ということになり、民族の土地というも、結局は民族の生活である、という説も出て来よう。そしてそれは、理論的には正しい。然し直接の感情からは少し遠ざかる。私が云うのは直接の感情に即してである。
さて、斯く云う私には民族的意識が稀薄なのであろうか? ともあれ、これは私の一つの実感である。