Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ぶんがくへのじっかんについて
文学への実感について
豊島 与志雄
Lisez 文学への実感について (ぶんがくへのじっかんについて) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 2 838 caractères · 6 écrans
斯くて、作家が真剣に実践する文学は、生活の慰安ではなくて生活の推進力となり、比喩的に云えば、生活から咲き出した花ではなくて生活を育てる養液となり、更に云えば、あったこと若しくはあることの表現ではなく、あるべきこと若しくはあり得ることの表現となった――少くともそういう観念となってきた。而もこの中心的な本質的な核をつつむ肉体の生成は、社会的なまた経済的な広い視野と、科学的なきびしいリアリズムの精神とで、なされなければならないというところにまで立至っている。
こういう文学が、はげしい現実の跳梁と重圧との下に如何に困難であるかは、自明のことであろう。だから前に述べたような事情によって、或は素朴な感動に還るといっても、或は素材の力に頼るといっても、或は現実の認識を深めるといっても、それには大抵「先ず」の一語が冠せられ、その「先ず」からさきの見通しは、模糊として薄暗いのである。作家が文学を実践するに当って、文学という言葉は既に実感としては甚だ空疎な響きしか持たず、それでもやはり文学には違いないのである。――斯くて、作家達は各自にそれぞれ特別な肚の据え方をして、或は観念的に或は方法的にいろいろの探究をなし、極言すれば、文学ジャンルの進展を夢みてる者もあろう。