Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しん・へいけものがたり

新・平家物語

吉川 英治

Lisez 新・平家物語 (しん・へいけものがたり) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 123 012 caractères · 245 écrans

Aozora Bunko

何もない板じきの一部屋には、松明りを灯皿にくべ、どこの法師たちやら、悪僧面が三、四人、遊女たちを、ひざへのせたり、抱えたりして、すでに飲み空けた酒壺が、幾つも、横に、ころがされてある。

『あ。先に帰ったな。……盛遠はおれを残して』

かれは、一そうあわて出した。例の、ぼろ直垂を着け、太刀を腰へつるすのも、あたふたと、縁伝いに、出口をさがした。

暗いし、戸惑い気味でもあった。何やら、足の先に、金属的な物音を蹴のこしたまま、逃げるように、戸口を出た。

すると、物音に、とび出して来た法師たちが、

『待てまてっ』と、口ぐちに、清盛のうしろで、わめいた。

『ひとの長刀を蹴たおしながら、肩そびやかして出て行くは、どこの何者だっ。待ちおろうッ、そこな小男』

清盛が振り向いた眼のさきへ、チカッと来たのは、すでに、言葉ではなく、白い長刀のひらめきだった。おそらく叡山かどこかの、屈強な荒法師の手練にちがいない。死神の手のように、それは迅かった。かれは一ぺんに酒気もさまし、宵の快楽も、あとの悩みも、消し飛ばして、夜風の中を、逃げていた。

枯れ草の生えた崩れ築土と、腕木も傾いた怪しげな屋敷門とが、眼のまえに来ていた。