Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

しん・へいけものがたり

新・平家物語

吉川 英治

Lisez 新・平家物語 (しん・へいけものがたり) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 123 012 caractères · 245 écrans

Aozora Bunko

すべて、上皇の御意志に出ていることは、いうまでもない。

公卿たちも、こんどは、沈黙しているかに見えた。――しかしそれは、陰性な用意の空間であったとみえる。やがてかれらは、忠盛の私行を、裏面からあばきたてて、意外な事実を、表面化し出した。

それは、忠盛の恋であった。忠盛に、かくし妻があったという、耳新しい取りざたである。

と、いっても、公卿たち自身、夜々に通う愛人や、かくし妻は、みな持っている。ひとり忠盛にのみ、恋をとがめる筋あいはない。

だが、問題は、恋にではなく、あいて方の女性にあるというのだ。公卿たちの見るところ、ゆゆしいひが事であり、かならずや上皇の逆鱗にふれ――ひいては忠盛の死命を扼すであろうとして――俄然、院中にうわさを立てた。

『世に、男は無くもあるまいに、スガ目殿を、恋のあいてに、えらぶとは』

『もの好きな女性も、あればあるものかな』

『いや、忠盛とて、歌のまね詠みぐらいはする男。ただ、あの顔して、どんな恋歌など』

『人は、見かけによらぬという、俗言もあれば……。さはいえぬものじゃ』

こういえば、だれしも、これには、興味をもつ。

『ほ。……スガ目殿の相手とは、一体、どこの女性か』