Classiques japonais avec furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lisez 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) de 林 芙美子 (はやしふみこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 247 330 caractères · 497 écrans
畳の上では何か焼いた跡らしく、点々と畳が焦げていて、たいさんの茶色のマントが、見るもむざんに破られていた。
「庄野さんとこへ昨夜泊ったのよ。」
たいさんはニヤリと笑っていた。いやな笑いかたである。思うように思うがいいだろう。私はもう捨てばちであった。たいさんはいいひとが出来たと云った。そして結婚をするかも知れないと云っている。うらやましくて仕様がない。今は只沈黙っていたいと云っていた。淋しかったが、たいさんの顔は何か輝いていて幸福そうだ。みじめな者は私一人じゃないか。私はくず折れた気持ちで、片づけているたい子さんの白い手を呆んやりながめていた。
*
(二月×日)
黄水仙の花には何か思い出がある。窓をあけると、隣の家の座敷に燈火がついていて、二階から見える黒い卓子の上には黄水仙が三毛猫のように見えた。階下の台所から夕方の美味しそうな匂いと音がしている。二日も私は御飯を食べない。しびれた体を三畳の部屋に横たえている事は、まるで古風なラッパのように埃っぽく悲しくなってくる。生唾が煙になって、みんな胃のふへ逆もどりしそうだ。ところで呆然としたこんな時の空想は、まず第一に、ゴヤの描いたマヤ夫人の乳色の胸の肉、頬の肉、肩の肉、酸っぱいような、美麗なものへ、豪華なものへの反感が、ぐんぐん血の塊のように押し上げ