Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lisez 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) de 林 芙美子 (はやしふみこ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 247 330 caractères · 497 écrans
酒場ではお上さんが、一本のキング・オブ・キングスを清水で七本に利殖しているのだ。埃と、むし暑さ、氷を沢山呑むと、髪の毛が抜けると云うけれど、氷を飲まない由ちゃんも、冷蔵庫から氷の塊を盗んで来ては、一人でハリハリ噛んでいる。
「一寸! ラヴレーターって、どんな書出しがいいの……」
八重ちゃんが真黒な眼をクルクルさせて赤い唇を鳴らしている。秋田とサガレンと、鹿児島と千葉の田舎女達が、店のテーブルを囲んで、遠い古里に手紙を書いているのだ。
今日は街に出てメリンスの帯を一本買うなり。一円二銭――八尺求める――。何か落ちつける職業はないものかと、新聞の案内欄を見てみるけれどいい処もない。いつもの医専の学生の群がはいって来る。ハツラツとした男の体臭が汐のように部屋に流れて来て、学生好きの、八重ちゃんは、書きかけのラヴレーターをしまって、両手で乳をおさえてしなをつくっている。
二階では由ちゃんが、サガレン時代の業だと云って、私に見られたはずかしさに、プンプン匂う薬をしまってゴロリと寝ころんでいた。
「世の中は面白くないね。」
「ちっともね……」
私はお由さんの白い肌を見ていると、妙に悩ましい気持ちだった。