Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

いちかわくめはち

新編 近代美人伝 (下)

長谷川 時雨

Lisez 新編 近代美人伝 (下) (いちかわくめはち) de 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 138 172 caractères · 277 écrans

Aozora Bunko

「やってよ、箏爪はなくたって好い。」

「いえ、それはあるにはある。」

浜子は、何処からか、たしなみの箏爪の袋を出した。なるほど鰹節のように黒く幅のやや細い箏の琴が持ち出されると、膝に乗せて愛撫した。毛氈の上では華やかに、もうはじまりだした。お対手の弾手や三味線の方の女も現れて来て、琴の会のような賑しいことになっている。

鼓の箱も運び出されて来た。鼓と謡は堂に入っているといわれている彼女だった。

「おやおや、この分では、仕舞まで拝見するのかもしれない。」

浜子は、むずとして、軽く古い箏の絃に指を触れながら、そんなしゃれを言った。

二

その名箏も、あの大正十二年の大震災に灰燼になってしまった。そればかりではないあの黒い門もなにもかも、一切合切燃えてしまったのだ。軽井沢の別荘から沓掛の別荘まで夏草を馬の足掻きにふみしかせ、山の初秋の風に吹かれて、彼女が颯爽と鞭をふっていたとき、みな灰になってしまった。

「衷が、あなたならお目にかかるというから、私の部屋に寄ってよ。」

と、あの時、大囲炉裡に、大茶釜をかけた前に待っていたむつむつしたような重い口の博士は諧謔家だったが、その人も震災後の十四年に亡なられた。