Classiques japonais avec furigana
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しんしゃくしょこくばなし
新釈諸国噺
Lisez 新釈諸国噺 (しんしゃくしょこくばなし) de Dazai Osamu (太宰 治) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 93 562 caractères · 179 écrans
」と青砥は得意満面、「川底に朽ちたる銭は国のまる損。人の手に渡りし金は、世のまわり持ち。」とさっき河原で人足どもに言い聞かせた教訓を、再びいい気持で繰り返して説いた。
「お父さま、」と悧発そうな八つの娘が、眼をぱちくりさせて尋ねた。「落したお金が十一文だという事がどうしてわかりました。」
「おお、その事か。お律は、ませた子だの。よい事をたずねる。父は毎朝小銭を四十文ずつ火打袋にいれてお役所に行くのです。きょうはお役所で三文使い、火打袋には三十七文残っていなければならぬ筈のところ、二十六文しか残っていませんでしたから、それ、落したのは、いくらになるであろうか。」
「でも、お父さまは、けさ、お役所へいらっしゃる途中、お寺の前であたしと逢い、非人に施せといって二文あたしに下さいました。」
「うん、そうであった。忘れていた。」
青砥は愕然とした。落した銭は九文でなければならぬ筈であった。九文落して、十一文川底から出て来るとは、奇怪である。青砥だって馬鹿ではない。ひょっとしたら、これはあの浅田とやらいうのっぺりした顔の人足が、何かたくらんだのかも知れぬ、と感附いた。