Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lisez 旅愁 (りょしゅう) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 576 941 caractères · 1138 écrans

Aozora Bunko

しかし、抒情が生じただけではまだ完全な俳句とは云い難いので、さらに転じて、どのような人間の特質の中へも溶け込む、いわば精神の柔軟性という飛躍が必要だ。踏み込みだ。」

「おかしいな。そこが分らん。」

と久慈は呟いて俯向いた。すると、東野は、暫く久慈の顔を見詰めていてから、物も云わずいきなり久慈の足をぐっと踏みつけた。

「痛いだろ。」

「痛い。」

「つまり、そんな風なものさ、この痛み、どこより来たる。といった風な疑問に還る精神が、俳句だ。」

「禅坊主だね、あなたは。」

と久慈は云って突然空を向いてあはあはと笑い出した。丁度、こうして皆の笑っているところへ、顔を充血させた塩野が上着の下へ片手を突き込み、足もとから鳩を吹き上らせて、

「しめたッしめたッ。」

と叫びを耐えた声で馳けて来た。首でもかき取って来たような様子である。

「婆さんとうとう、貸してくれたぞ。一日千秋の想いを達した。これだ。」

塩野は人に知られぬようにあたりを見廻してから、上衣の下から大きな鍵を覗かせた。錆びの這入った、長さ五六寸もあろうと思える五本の鍵が蒲鉾板のような板の一点に、それぞれ紐で結わえつけてある。