Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lisez 旅愁 (りょしゅう) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 576 941 caractères · 1138 écrans
誰も監視しているもののない部屋で、別れる最後の愛情のしるしを今か今かと待ち合うのは、今日はいつもと違って気忙しく苦しかった。
「僕もいろいろなことをお話したいんだが、外国にいちゃ、何んと云っていいか、とにかく云うことすることに間違いが多いですからね。しかし、帰ればきっと僕お会いします。僕は間違いはないつもりなんですが、どういうことであなたが困られるか分らないから、それでつい、これだけは慎しむ方が良いとそんなに思いましてね。」
すると、突然、千鶴子は云いかねた顔色に変って来て黙った。矢代は自分の云ったことが云いたいこととは遠く、何か千鶴子の決心も間違いだと匂わせている全く別な言葉となり変っていそうに思われ、これは大変なことを云い出したものだと思わず言葉を嚥んだ。事実、どこの国にいようと、結婚する意志に変りのあろう筈がないと思っている千鶴子に、初めてうち明ける危険な真相であってみれば、それに気づけば千鶴子とて気づかない前より二の足を踏み考えるにちがいなかった。
「でも、あなたそんなこと、本当に思ってらっしゃるんですの。あたしが間違うだろうなんて?」
伏目になって悲しげにそう云う千鶴子を見ながら、矢代はそれではまだ気づかれなかったかと、胸撫でおろすような気持ちになるのだった。