Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lisez 旅愁 (りょしゅう) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 576 941 caractères · 1138 écrans

Aozora Bunko

十時間か――」

「同じ日がこのあたりで二日もあるんだから、矢代さん、ここらあたりで、日を按配しとかれないと、満洲里で電報打ちぞこないますよ。」

南から注意をうけて初めて矢代は日のことを考えた。いつも日を忘れる癖のある彼には、同じ日が二度も重なっていることなど考えもしなかったが、それにしても実に暢気そうに見える無造作な南が、必要なことだけ忘れずに覚えているのも、日本人らしいと思って感心した。

やはり日本人はこれで良いのかもしれない。云うことがもぞもぞとして下手だったが、南がいると、車中の外人らも無事に皆おさまって来たと矢代は思った。それも特別に人の注意を牽くわけでもなく、また合理的なところもなければ鮮かな身振りもなかった。

背が小さく出っ歯で、小肥りなうえに開けッ放した唇が厚くいつも唾で濡れていた。そのくせ父親らしい均衡があって、温和な円い眼だけが笑いを湛えているので人の集りに生ずる隙間を、誰よりも一番確実に南が満たして列車とともに流れていた。

矢代は寝ながらも、下にいつも一緒にいた南の和らかな平凡さが、急にこのときから面白くなって来た。国境なども南のようだと取り立てて厳しくも見えず、人もまたそのまま通過を許してしまうのだろう。