Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lisez 旅愁 (りょしゅう) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 576 941 caractères · 1138 écrans
もう街は遅くなっていたので人通りも少く、電灯も暗かった。彼は寿司屋を出てから、行きつけのおでん屋の方へ歩いてみた。日本を出発する前にいつも歩いた自分のコースを、またそのように歩いてみたくなったのだが、歩きながら彼は、これからの来る日も来る日も、こうして自分は同じ所を歩き、一生を過すのかもしれぬと思った。すると矢代は今までとは打って変って、急にぐらりと悲しくなった。今までの旅中はある街に着いても、二たびここを見ることもなく、明日は旅立って行くのだと思ったのに、今はそうではなかった。もうここは旅の納めで明日からここを動かぬのだった。ここは自分の生れ出た土地で、墳墓の地だと思い、いつの間にか人は識らずに自分の屍を埋める場所を、こんなに探し廻っているのだと思った。その過ぎた月日の物思いも、停ってみれば、停ったところからまた、月日がめぐってゆくのであろう。そう思うと、風の消えた湿った裏小路に踏みつけられた紙屑も、はッと眼差を合せたものの歓びに似て見えたりした。
実際一つ一つのものが今の矢代には意味があった。そうしておでん屋の前まで来たとき、彼は何げなく敷居を跨ごうとした足を思わずまた引っ込めた。