Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lisez 旅愁 (りょしゅう) de 横光 利一 (よこみつりいち) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 576 941 caractères · 1138 écrans

Aozora Bunko

しかし矢代は廊下に立って塩野の背を見ながらも、やがて来そうな千鶴子のことをふと思うと、争われず庭など落ちついて眺めていられなかった。パリで別れてから、大西洋へ出て、アメリカを廻って来た千鶴子の持ち込んで来るものが、まだ見ぬ潮風の吹き靡いて来るような新鮮な幻影を立て、広重の描いた目黒富士の直立した杉の静けさも、自分の持つ歴史に一閃光を当てられるような身構えに見えるのだった。

間もなく、庭の石灯籠の袋に火が入り部屋の火影が竹林の足を染め出すころになって、女中に伴われ千鶴子たち二人が廊下を渡って来た。

鷹揚に肥満した背の高い兄と並び、クリーム色に山査子の花を泛べた千鶴子の服が、鳥の子の襖いちめんにぼうッと光圏を投げ拡げ、灯を映したその華やいだ色の中から、千鶴子は首を縮めてちょっと矢代を見ると眼を落した。それはパリで見たときよりも見違えるほどの美しさだった。そこへ塩野は気軽に二人の傍へ近より板についた賑やかな握手をした。矢代も塩野の後から千鶴子の傍へよって行ったが、握手をひかえ、どちらからともなく畳の上へ膝をついて、

「暫くでした。」

と彼が云うと、千鶴子も「御無事で」